Ima Kuroda

2007年、ロサンゼルスの古着屋で働いていた頃、店の外壁に、ミニスカートのお婆さんが突然描かれていることに気付いた。その異様な雰囲気と皮肉たっぷりの キャッチフレーズに目を奪われた。店主によると「バンクシーだよ」と。その頃、バンクシーは知る人ぞ知る存在だった。私自身もその時まで、ストリートアート自体に全く気付いていなかった。それからは、街が異なって見えた。ストリートアートが、怒り、悲しみ、希望を、「私はここにいる」と訴え始めた。ある日、古着屋の壁が、お婆さんからファーストフードを運ぶ猿人に変わっていた。バンクシーのアメリカ文明に対するユーモラスな洞察か?しかしそれもまたペイントするネズミの悦びに変わった。次々と自身の絵を塗り替える、その行為自体が、アートマーケット批判のようだった。 ストリートアートは、いつ消されるか、上書きされるかわからない。今、ここでしか見ることのできない、一期一会のアート。新鮮な感覚を得た。世界のストリートで出会ったアートを記録し始めた。

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